中野隆元
提供: 新纂浄土宗大辞典
なかのりゅうげん/中野隆元
明治一九年(一八八六)九月二九日—昭和五一年(一九七六)八月二四日。無上心院興蓮社教誉法阿鶯洲。宗門功労者。東京深川の材木商、中野常蔵の長男として誕生するが、故あって祖母中野孝子に伴われ、浅草念仏院興世隆真の弟子となる。興世は法式の大家であったが、中野隆元は法式の道には入らず布教一筋の生涯を送る。明治四一年(一九〇八)宗教大学卒業後も、布教・伝道学を学び続け、二六歳で宗教大学講師、東洋大学・立正大学にも出講し、三五歳で教授となる。明治四〇年(一九〇七)念仏院住職を拝命、研究の集大成といえる『浄土宗教学大系』一六巻を編著し四八歳のときに上梓している。また布教実践にも力を注いだ。浅草・仏教伝道会館内に「東京教団」を組織し、布教家を志す宗派を超えた青年僧侶を募り実演指導をしたことなどは、その一例である。世寿八九歳。
【執筆者:中野隆英】