どうちん/道珍
六世紀頃、生没年不明。廬山の浄土教者。梁・天監年間(五〇二—五一九)に、慧遠の居した廬山において『観経』にもとづく水想観を修めていた。ある日、西方に向かう船に乗ろうとするも、修行が成就していないことを理由に同乗を拒まれるという不思議な夢を見る。夢からさめた道珍は、『阿弥陀経』を読誦し、比丘に入浴の世話をするなど功徳をつむと、また修行が円満となったことを認められる瑞夢を見る。その臨終には廬山の山頂に数千の松明が灯り、寺域には異香がただよい、往生をはたしたという。
【資料】『続高僧伝』一六(正蔵五〇)、『瑞応刪伝』『浄土往生伝』上(共に続浄一六)
【執筆者:齊藤隆信】