神谷大周講述。大正二年(一九一三)一二月刊。同年七月に行われた華頂山第三回教学講習会の講義録。伝宗伝戒の沿革を簡潔にまとめ著したもの。特に明治二一年(一八八八)の『伝語』発行により宗内に起こった伝法問題の経緯が綴られている。神谷はすでに『結縁五重筌蹄せんたい』を著して、行誡の所説に基づいた伝法を説いている。本書においても行誡の『伝法復古—行誡大僧正之手記—』や『伝語』に見られる説を擁護しつつ、私案が述べられている。
【所収】椎尾弁匡編『斉誉大僧正記念文集』(一九一八)
【参照項目】➡神谷大周、結縁五重筌蹄、伝語
【執筆者:宮入良光】