伝書
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:29時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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でんしょ/伝書
一宗の伝法に用いられる書、相伝の宝典。師資相承における面授口訣を文字に表して典籍としたものを伝書という。浄土宗においては聖冏が五重伝法を制定して以来、三巻七書を伝書とする。三巻とは、伝法然撰『往生記』一巻、聖光『授手印』一巻、良忠『領解抄』一巻を指し、七書とは、聖冏『投機抄』一巻、同『伝心抄』一巻、同『徹心抄』一巻、良忠『疑問抄』二巻、聖冏『銘心抄』二巻である。これらの書は、『授手印』に「誹謗他門の諸家、不信邪見の人には、写さしむべからず」(聖典五・二四五)、『疑問抄』に「一門信受の輩に非ざるよりは、許し写さしむべからざる者なり。たとい一門なりといえども、その器量を選んでこれを許すべし」(聖典五・三七四)とあるように、秘伝の書として伝法伝授の器以外には書写は許されていなかった。しかもその書写におよんでは、『授手印』に「一句一字をも加減すべからざれ」(聖典五・二四五)というように敬虔森厳な態度をもって伝承すべきことが示されている。
【執筆者:沼倉雄人】