天の太鼓。Ⓢdeva-dundubhi。『八十華厳』では、忉利天とうりてんにあるとされる(正蔵一〇・七九上)。天人が放逸なるとき、自然に妙法の音を響かせて無常の法を教え、天人達には聞法の、帝釈天には説法の意欲を起こさせ、また阿修羅はこの音声に恐れをなして退却するという。龍樹の『十二礼』では阿弥陀仏の声がこの天鼓の音に譬えられ(続蔵二・一五五上)、善導の『往生礼讃』に引かれる(浄全四・三六三/正蔵四七・四四二中)。
【執筆者:市川定敬】