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智旭

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ちぎょく/智旭

明・万暦二七年(一五九九)—永暦九年(一六五五)。中国江蘇呉県の人。天台教学を中心に据えた、仏教に限らない思想の一元化を唱えた。参禅と天台の止観念仏に違いはないと主張。物と心が時間的・空間的に極めて微妙なあり方をする現前一念心は、仏の智慧と離れたものでないことを理解すれば、三者の違いはないとした。また中国仏教史上、天台教学を重視する者として初めて実叉難陀じっしゃなんだ訳『起信論』に註釈をした。『大乗起信論裂網疏』は唯識と天台教学の融合、華厳教学者とりわけ宗密への対抗意識を色濃く反映している。著書に『閲蔵知津』『教観綱宗』『阿弥陀経要解』『法華経綸貫』『浄信堂答問』等がある。


【参考】荒木見悟『仏教と陽明学』(第三文明社、一九七九)、望月信亨『中国浄土教理史』(法蔵館、一九四二)


【執筆者:篠田昌宜】