断末摩
提供: 新纂浄土宗大辞典
だんまつま/断末摩
死に際の苦しみ、また死に際。Ⓢmarmaccheda。断末魔、断末磨とされることもある。末摩はⓈmarmanの音写で、関節や急所を意味する。この末摩について、中国では死穴や死節などと理解され、触れるだけで命を落とす部位とされた。断末摩はその末摩、すなわち関節(あるいは急所)を突くことである。これは激しい苦痛を伴う行為とされ、その苦痛を死に際の苦しみに例えて用いたものである。また『俱舎論』一〇には「又、漸に命終する者は、命終の時に臨みて多く断末摩の苦受のために逼まらる」(正蔵二九・五六中)とあり、断末摩の苦しみを受けるのは、漸に命終する者、すなわち急死ではなく、病などで次第に命を失うものに多いとする。法然は、念仏行者であろうとも臨終のときにそのような苦しみから逃れることはできないが、息の絶えるときには阿弥陀仏の力で正念になって往生することができるとする。
【資料】『四十八巻伝』二三
【参照項目】➡臨終正念
【執筆者:石田一裕】