他者を利益すること。自利の対。ⓈparahitaⓈparārtha。他利と利他の違いについて、曇鸞『往生論註』下には「他利と利他とを談ずるに左右あり。もし仏よりして言わば、宜しく利他というべく、衆生よりして言わば、宜しく他利というべし。今まさに仏力を談ぜんとす。この故に利他をもって之れをいう」(浄全一・二五五上)と指摘し、衆生を利益する仏の側からすれば利他というべきであり、利益をうける衆生の側からいえば他利というべきであるとしている。すなわち他(衆生)を利するのを利他、他(仏)が利するのを他利という。
【参照項目】➡自利・利他
【執筆者:石川琢道】