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総持門

提供: 新纂浄土宗大辞典

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そうじもん/総持門

陀羅尼の法門のこと。陀羅尼門ともいう。総持とは陀羅尼(Ⓢdhāraṇī)の漢訳。善を持って失うことなく、悪を持っていても生じることがないこと。善をたもつことは仏の教えをたもち忘れないことでもある。ひいては密教の教え全体を総持門という。釈尊一代の法門を五つに分類する五蔵(五種蔵)が複数存在するが、その中『大乗理趣六波羅蜜多経』には素呾纜そたらん蔵・毘奈耶びなや蔵・阿毘達磨あびだるま蔵・般若波羅蜜多蔵・陀羅尼門蔵に分け、陀羅尼門蔵は悪業を重ねる重罪の衆生一闡提いっせんだいの者を速やかに涅槃に到らせるために説かれた最高の法門としている。さらに、この五蔵を乳・酪・生酥しょうそ熟酥じゅくそ・醍醐の五味に配当し、陀羅尼門蔵を最高の醍醐味に譬え、よく諸病を除くと説く。『選択集』一一の中で、「念仏三昧はこれ総持の如く、また醍醐の如し」(聖典三・六五/昭法全三三八)と説かれているのは、このような総持門罪悪凡夫に対する有効性によるものである。


【参照項目】➡陀羅尼


【執筆者:横田善教】