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節分

提供: 新纂浄土宗大辞典

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せつぶん/節分

季節の分かれるときを意味する言葉。立春、立夏、立秋、立冬の前日をいうが、一般には立春の前日のこと。季節の変わり目には邪気が生じるとの考えから、豆まきなど邪気を払うための行事が行われる。またこの日には、寺院や神社で追儺ついな会が行われる。追儺とはもとは中国の行事で、日本では慶雲三年(七〇六)に初めて挙行されて以来、宮中行事の一つとなったもので、人を鬼に扮装させて、これを追い払うというものである。もとは追儺は一二月晦日に行われる行事であった。一方、立春の節分は、旧暦の頃は多くは一二月中であり、一二月晦日とも近く、ともに邪気が跋扈ばっこする日と考えられたため、室町期には、追儺節分の日に移行していった。節分に豆をまく風習は、応永年間(一三九四—一四二八)には行われるようになっていた。また、焼いたイワシの頭をひいらぎとともに串にさして門や玄関付近に飾るヤイカガシという風習は全国にみられるが、これは一説には、鬼は鰯の匂いをひどく嫌がり、柊のとげは俗に「鬼の目突き」といわれるように鬼が恐れるからであるといわれている。


【参考】藤井正雄「節分と追儺の儀礼」(藤井正雄他編『仏教行事歳時記二月 節分』第一法規出版、一九八八)、五来重『五来重著作集八 宗教歳時記』(法蔵館、二〇〇九)、江馬務『江馬務著作集』九(中央公論社、一九七七)


【執筆者:名和清隆】