諸回向宝鑑
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:25時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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しょえこうほうかん/諸回向宝鑑
五巻。表題には「浄土諸回向宝鑑」、内題では「浄家諸回向宝鑑」と記してある。著者は必夢、雅印に讃誉龍山と捺し、その事蹟などは不詳である。奥書は元禄一一年(一六九八)正月上旬とある。宗門僧侶のために読誦すべき経や回向文を集録した書。序によると宗門初学の僧侶が誦経、回向など修練するべき法要を知らないのを慨いていたところ、ある人の勧めに従い、浄土門の宗風を誌して、初学者に教え諭すのに便利なように作ったとある。本書は、第一条箇に宗門軌則六修法、円光大師七箇条、四箇法要、三部経抜粋、施餓鬼法などの法式を載せ、第二条箇に各種の回向文、第三条箇に葬儀に関する故実、法式を載せ、第四条箇に浄土諸系譜、元祖大師行状、第五条箇に諸法式における威儀などの軌則を編述している。浄土宗の規律確立後に必要な法要儀則を網羅し、法然以降の流伝を示したこの種の書の先駆をなすものであり、浄土宗軌規の根幹をなすものとして重要な書である。『浄土苾蒭宝庫』は本書に依るところが多い。昭和五二年(一九七七)に諸回向宝鑑刊行会より、復刻本が刊行された。
【参照項目】➡浄土苾蒭宝庫
【執筆者:石田典正】