内題は「内道者持念文」。源信撰。『楞厳語萃りょうごんごすい』におさめられている一つで、八字二二句からなる。成立年代は不明。念仏者の座右の銘として撰した。内容は、人間の身体的変化・心的欲求などを示した上で、いたずらに罪を造り堕獄することなく、極楽往生のために勤め励むことを記している。ちなみに、永観の『往生拾因』の序には「嗟乎ああ。去り去て来たらざるは盛んなる年、残日稍闌ややつきたり。来り来て去ること無きは衰えたる齢い、余年復幾ばくぞや」(浄全一五・三七一上)とあり、この詞の一節に近似している。
【所収】『恵心僧都全集』五、仏全三一
【執筆者:神宮良弘】