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六合釈

提供: 新纂浄土宗大辞典

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りくがっしゃく/六合釈

梵語による文章において、二語以上が連接して合成された複合語(コンパウンド/compound)について心得ておくべき六通りの文法解釈のこと。相違釈そういしゃく(Ⓢdvaṃdva)、依主釈えしゅしゃく(Ⓢtatpuruṣa)、持業釈じごうしゃく(Ⓢkarmadhāraya)、帯数釈たいすうしゃく(Ⓢdvigu)、有財釈うざいしゃく(Ⓢbahuvrīhi)に、隣近釈りんごんしゃく、もしくは不変詞(Ⓢavyayībhāva)と言われる用法のこと。ろくがっしゃくともいう。相違釈は、Ⓢśītoṣṇam(寒と熱)のように二語以上の名詞を対等に列挙したり、あるいはⓈjayaparājaya(勝ちか負け)のように二語のうちどちらか一つを選択する意味をあらわす用法。依主釈は、Ⓢrājaputra(王の子)やⓈgrāmagata(村に行った)のように、後分に名詞または名詞のように見るべき語が配され、前分の語が後分の語に対して、つねに格の関係を有する用法。持業釈は、Ⓢvajramaṇi(固い石=金剛石)やⓈatisūkṣma(極めて微なる=極微)のように前分が後分の語に対して形容詞・副詞・名詞などの関係を持つ用法。帯数釈は、Ⓢtriloka(三つの世界三界)のように前分が数詞となる用法。有財釈は、Ⓢsapakṣa(翼を持つ=有翼)のように複合語全体が形容詞の作用をなし、「〜を持つ」「〜を有する」の意味をあらわす用法。隣近釈(不変詞)は、Ⓢyathādharmam(法の如くに=如法)のように前分が副詞・関係詞などの不変化詞で、後分は名称詞となる用法。以上の六つはインドにおける文法解釈に基づくが、中国では、不変詞に代わって隣近釈を用いる。これは「四念処」が本来は慧を体とするが、慧が念のありようと近いがために念処とされるように、厳密には実際と異なるが、それに近いなにがしかの名称を配する用法をいう。浄土宗では『浄土宗要集見聞』二(浄全一一・五九上~下)、良栄理本浄土宗要集見聞』二(浄全一一・三七〇上~下)などに言及されている。なお各呼称の読み方、梵語表記には諸説がある。


【資料】法蔵『華厳経探玄記』三


【参考】荻原雲来『実習梵語学』(丙午出版社、一九一六)


【執筆者:真野龍海】