一巻。後鳥羽上皇(隠岐法皇)撰。承久の乱に伴う隠岐配流後の著作であると考えられる。本文は三段に分けられ、初段には五道六道の苦を厭い安養の浄刹に生ずることを欣ねがい、前仏と後仏の間には阿弥陀仏の悲願に憑たのむべきであると述べて世の無常を語り、二段には上皇が体験した無常を語り、三段には仏・菩薩に帰依して弥陀の名号を称えて命終に安楽国に往生することを願うことを語っている。仁和寺蔵写本は国重要文化財に指定されている。
【所収】花野憲道・小林芳規「仁和寺蔵後鳥羽天皇御作無常講式影印・翻刻並びに解説」(『鎌倉時代語研究』一一、一九八八)
【執筆者:田中芳道】