禅の用語で、放り投げる、捨て去ること。特に、悟りを開くために心身ともに一つのものに執着せず、迷いを捨て去ること。遠離解脱すること。一般においてもすべてを捨て去ったり、放棄することの意に用いる。放下著ほうげじゃくともいわれる。『禅宗正脉ぜんしゅうしょうみゃく』序には、「仏曰く、放下著せよ。梵志遂に左手の一株の花を放下す」(続蔵八五・三八〇中)とあり、ここでは、放下著は禅用語で命令形で用いられており、放下は一般的な意味で捨て去ることを意味している。禅浄双修の立場においては、このようなとらわれの心を捨てて(放下して)ただひたすらに念仏することを勧める。
【執筆者:薊法明】