奥深くて容易に知ることができないこと、あるいは人に知らせないこと。また密意みっちと同義語で、教えに隠された真の意図のこと。後者はⓈsaṃdhiに対応する。『大智度論』四(正蔵二五・八四下~五上)などでは仏の教えには秘密と現示の二種があるとし、『摂大乗論』中(正蔵三一・一四一上~中)では仏が教えを説いたときの意図として令入秘密・相秘密・対治秘密・転変秘密の四種秘密(あるいは四秘密)を説く。また秘密の語はとくに密教で用いられ、密教は秘密教の略称ともされ、真言宗の念仏を秘密念仏ともいう。
【参照項目】➡真言念仏、密意、密教
【執筆者:石田一裕】