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伝語

提供: 新纂浄土宗大辞典

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でんご/伝語

福田行誡述。明治二一年(一八八八)八月、浄土宗務所刊。浄土宗管長福田行誡浄土宗伝法の抜本的改革を目的として明治二一年四月一五日に病床にて撰述したもの。行誡の死後、浄土宗管長日野霊瑞が同年八月に浄土宗務所から頒布した。本書は最初に浄土宗務所による緒言があり、次に戒脈・宗脈を論じている。学匠相承の伝授を一四日間の加行とし、第一の七日を戒脈にあて『十二門戒儀』を講じ、七日目に授戒を行う。第二の七日を宗脈にあて一日毎に五重を説示し、六日目に化他門を説示し、七日目に伝法要偈式を行う。次に「結縁五重開導略筌」として結縁相承について解説する。そして最後に附記として血脈の用不用や布薩戒妄伝について付け加えている。本書の特徴として布薩戒全廃や初重『往生記』を廃して『選択集』を提示したことがあげられる。本書の草稿本として明治二〇年(一八八七)六月から八月にかけて著された『伝法復古』があり、そこには一一名の諸大徳が賛同し署名をしているので『伝語』は行誡の独断ではなかった。しかしその改革的な内容が受け入れられず批判が相次いだため、同二三年七月に浄土宗務所は『伝語』取り消しを布達したが、それ以後の浄土宗伝法に影響を与えた。


【所収】『行誡上人全集』(大東出版社、一九七七)、『平成新修福田行誡上人全集』一(USS出版、二〇〇九)


【参考】恵谷隆戒『概説浄土宗史』(隆文館、一九七八)、大橋俊雄『浄土宗近代百年史年表』(東洋文化出版、一九八七)


【参照項目】➡伝語匡謬伝語匡謬余滴伝語金鍮論


【執筆者:石川達也】