性交渉を禁じた戒。不無慈行欲戒ともいう。十重禁戒の第三番目の戒であり、菩薩の波羅夷罪である。このようなことを誰かに教えて、させることも禁止されている。ただし出家者と在家者には違いがあり、出家者に対しては一切の性交渉が禁じられ(婬)、在家者には不倫が禁じられる(邪婬)。菩薩は思いやりの心によってあらゆる生き物を救い導き、仏教の教えと多くの人々を清めるべき存在である。それにもかかわらず、性欲を起こしだれかれ構わずに、自らの欲望を満たすために性交渉を行うならば、波羅夷罪とされるのである。
【資料】『梵網経』、『菩薩戒義疏』
【参照項目】➡十重禁戒、波羅夷
【執筆者:石田一裕】