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賢聖

提供: 新纂浄土宗大辞典

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げんじょう/賢聖

賢とは賢者、聖とは聖者のこと。あるいは賢き聖者。賢者とは見道には至らないが修行の進んだ者のことであり、聖者とは見道に達して多くの煩悩を断った者、さらに修行が進みすべての煩悩を断ち切った者のこと。賢者と聖者の定義については諸経論において様々に説かれ、アビダルマと大乗では定義が異なる。アビダルマでは、賢者とは三賢(①不浄観・入出息念、②別相念住、③総相念住)・四善根(①なん、②頂、③忍、④世第一法)の位に属する者で、これを七賢という。聖者とは四諦を如実に理解した有学・無学の者で、これを七種類に分類し七聖しちしょうとする。また大乗では、三賢十聖をあげる。ここでの三賢は先の定義とは異なり十地以前の菩薩を指す。十聖とは十地に属する菩薩であり、十地以前の者を賢者、十地に住する者を聖者と定義している。また八賢聖や二十七賢聖という分類もあるが、これは賢聖を「賢き聖者」と理解したもので、「賢者と聖者」を分類したものでないことは注意せねばならない。


【参考】櫻部建・小谷信千代訳『俱舎論の原典解明 賢聖品』(法蔵館、一九九九)


【参照項目】➡見道


【執筆者:石田一裕】