謗法往生
提供: 新纂浄土宗大辞典
ほうぼうおうじょう/謗法往生
仏の正法を非難した者でも、懺悔し念仏すれば極楽往生が得られること。『無量寿経』上には「至心に信楽して、我が国に生ぜんと欲して、乃至十念せんに、もし生ぜずんば、正覚を取らじ。ただ五逆と誹謗正法とを除く」(聖典一・二二七/浄全一・七)と説かれており、仏の正法(教え)を誹謗した者は救われないとされる。しかし、阿弥陀仏の大慈悲心から見れば救われないものはなく、謗法の者もやがては救われる。すなわち謗法が懺悔念仏の因縁(逆縁)となって往生することを意味している。善導の『法事讃』上には「人天善悪皆往生を得」(浄全四・四上)るとあり、さらに「五逆と十悪と罪滅して生ずることを得、謗法と闡提と回心してみな往く」(同)とある。仏の正法を誹謗して回心懺悔しないものには当然往生はありえないが、回心懺悔し、念仏するものは往生が得られるとする。
【参照項目】➡抑止門・摂取門
【執筆者:金子寛哉】