特留此経
提供: 新纂浄土宗大辞典
とくるしきょう/特留此経
末法の時代が一万年続いた後、念仏以外の行は滅亡するが、念仏の行だけが留まるということ。『選択集』六に「この〈経〉の止住は、すなわち念仏の止住なり」(聖典六・一三三/昭法全三二五)とあり、『逆修説法』五七日には「経巻はみな隠没すとも、南無阿弥陀仏という事は、人の口に留まりて百年にても聞き伝う」(昭法全二六八)とする。これは『無量寿経』の「当来の世、教道滅尽せんに、我れ慈悲をもって哀愍して、特りこの経を留めて、止住すること百歳ならん」(聖典一・二八五/浄全一・三六)や善導『往生礼讃』の「万年に三宝滅すれども、この経、住すること百年ならん」(浄全四・三六二下)に対する法然の理解である。
【参考】石井教道『選択集全講』(平楽寺書店、一九六七)
【参照項目】➡止住百歳
【執筆者:眞柄和人】