「拾遺黒谷上人語灯録」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:26時点における最新版
しゅういくろだにしょうにんごとうろく/拾遺黒谷上人語灯録
三巻。道光編で上巻に漢語一巻、中・下巻に和語二巻を収める。同編『黒谷上人語灯録』に漏れた法然遺文を採録したもので、元亨元年(一三二一)に刊行された元亨版に収められた原題は『拾遺黒谷語録』(和語のみ)となっている。その巻末には「およそ二十余年のあいだあまねく花夷をたずねくわしく真偽をあきらめてこれを取捨す」(『龍谷大学善本叢書一五 黒谷上人語灯録』七〇〇下)とある。これを文永一一・一二年(一二七四・七五)に完成した『黒谷上人語灯録』の後のこととすると、永仁から正安年間(一二九三—一三〇二)頃の成立となる。正徳元年(一七一一)、義山が開板した義山版と元亨版の間には異同が見られ、義山による改変が指摘されている。そのため元亨版にない漢語は、近江国安土浄厳院興誉恩哲が書写し、同国水口大徳寺に伝来した大徳寺本に拠らなければならない。
【参考】『龍谷大学善本叢書一五 黒谷上人語灯録』(同朋舎出版、一九九六)、梶村昇・曽田俊弘「新出『大徳寺本 拾遺漢語灯録』について」(『浄土宗学研究』二二、一九九六)
【執筆者:伊藤真昭】