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「浄土指帰集」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:25時点における最新版

じょうどしいきしゅう/浄土指帰集

二巻。明・大佑集。本書は四明知礼の天台思想に基づき、礼仏・懺悔発願回向三福などの念仏を行うと同時に、理の唯心浄土唱導する書物である。原教・宗旨・法相・観慧・行法・証験・決疑・斥謬・指広・勧修の十門からなる。「原教」では浄土経典に説かれている阿弥陀仏発願極楽浄土の殊勝なること、そしてインド・中国の歴代の諸師の浄土教を紹介する。「宗旨」では知礼の『妙宗鈔』に基づき、心観を本経の宗となすと指摘する。「法相」では諸仏の教えはただ一つの理であると説くと同時に、智顗・永明・永嘉などの著作を取り入れながら西方極楽への往生の必要性を説く。「観慧」では天台の一心三観に基づき、観仏三昧般舟三昧を説く。「行法」では『阿弥陀経』に説かれている「一心不乱」を遂げるために、持戒懺悔浄業三福往生呪(ダラニ)・発菩提心などが必要であると述べる。「証験」では経典や往生伝などに説かれている菩薩や中国の諸師の往生の実例を初めとして、悪人・女人および畜生までの往生を説いている。「決疑」では往生するのに疑を断じることが重要であると説く。「斥謬」では仏教の執空や道教などの外道の教えを批判する。「指広」では般若・法華・華厳などの諸経および諸師の論に説かれている種々の浄土義を説いている。「勧修」では慈雲・龍舒などの教えを紹介しながら、念仏を勧めている。


【所収】『浄土津梁』五—六、続蔵六一


【参考】望月信亨『中国浄土教理史』(法蔵館、一九四二)、震華『中国仏教人名大辞典』(上海辞書出版社、一九九九)


【執筆者:肖越】