「生死」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:25時点における最新版
しょうじ/生死
Ⓢsaṃsāraの訳語。生まれることと死ぬこと。また、生まれかわり、死にかわることを繰り返すこと。輪廻の同義語。輪廻生死、生死流転などともいわれる。あらゆる衆生は生死の世界にさまよい、苦しんでいる。仏典ではそのように衆生がさまようところである生死を海にたとえ「生死海」や「生死大海」ともいう。また生死から抜け出すことが容易ではないから、生死を泥にたとえる場合もある。例えば『俱舎論』では「彼の生死は、是れ諸の衆生の沈溺する所なるによるが故に、出でんことの難き故に、かるがゆえに泥に譬う」(正蔵二九・一上)といい、一切の衆生は生死に溺れ、そこから抜け出せないでいるとする。このような生死から抜け出すためには、仏の教えが必要であり、それは海を渡るための船や溺れる人に差し伸べられる手にたとえられる。また『無量寿経』では「生死雲」(聖典一・二五二/浄全一・二〇)とあり生死は雲にたとえられるが、これは他の仏典には見えない独特の用法である。
【参照項目】➡輪廻
【執筆者:石田一裕】