「義絶」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:22時点における最新版
ぎぜつ/義絶
親族との関係を絶つこと。時代によってその意味内容が異なる。古代の律令制下においては夫婦関係を断絶することであり、中世では父母(祖父母)側から子(孫)に対して関係を絶つことを指す。また近世の武家社会では、親子関係を絶つことを勘当というのに対し、従兄弟など対等者の親族関係を絶つことを特に義絶といった。中世の場合、親から義絶された子は、後継者としての地位や財産相続権を喪失する。また親にとっては子が犯した罪の連座を免れるというように、義絶は単なる私事ではなく法的措置でもあった。義絶の証文として多種多様な形式の義絶状が作成された。中世の仏教界では浄土真宗の開祖である親鸞が、異義を唱え東国の門弟や信者達を混乱させたとして善鸞を義絶したことが有名。この場合、親子関係の断絶としての義絶であるとともに、善鸞は念仏をめぐる教義の対立によって、親鸞から師弟関係を絶たれ教団を追放されたという意味では、いわゆる破門と同義である。ただし親子関係の側を取って、一般に善鸞義絶と称されている。
【参考】平雅行「善鸞義絶状偽作説—松本史朗『法然親鸞思想論』をめぐって—」(『史敏』三、二〇〇六)
【参照項目】➡破門
【執筆者:舩田淳一】