「鎌倉浄土教成立の基礎研究」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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かまくらじょうどきょうせいりつのきそけんきゅう/鎌倉浄土教成立の基礎研究
石田充之著。昭和四一年(一九六六)五月、百華苑刊。本書は、鎌倉浄土教の大乗仏教原理研究として法然門流初期教学の基礎的理念、特に親鸞教学の解明を主題とする。内容は、大別して三編を立てる。第一編では、まず、法然入浄とされる安元元年(一一七五)から約一世紀間における、法然および法然門下等に関する動向を述べ、次いで、浄土教における基礎的理念の形成として『無量寿経』形成に至るまでの仏教精神の推移と印度・中国・日本に亘る法然以前の浄土教諸師の思想を概説する。最後に法然の浄土教思想を示し、その思想と大乗仏教の理念との関係性における問題点を指摘する。第二編では、法然浄土教に対する貞慶と明恵の論難について二師の思想背景を踏まえて解説する。第三編では、法然門弟が大乗仏教において表示される縁起や中道などの根本理念を法然教学にいかに原理づけするのかについて、隆寛・証空・幸西を他力強調派、聖光・長西を自力強調派、親鸞を他力向下門的実践道の徹底した立場と分類してそれぞれの教理を示す。最終的に親鸞教学が法然浄土教の思想を徹底しつつ、大乗仏教的な根本理念の基礎づけを果たすものであることを位置づけようとする。全般を通して大乗仏教の根本理念と印度・中国・日本における主要な浄土教諸師の思想との関係性が取り上げられており、その思想の展開、発展の大要を把握できる。
【執筆者:髙津晴生】