「円光大師行状画図翼賛」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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えんこうだいしぎょうじょうがずよくさん/円光大師行状画図翼賛
六〇巻。『円光大師行状翼賛』『法然上人行状画図翼賛』ともいい、『翼賛』と略称される。中阿円智纂述・義山重修。義山が記した序によると元禄一六年(一七〇三)の成立。『四十八巻伝』の代表的な注釈書。著者である円智と義山は聞証を師とする同門の僧で、二人は意気投合して活躍したという。ある日二人が聞証を訪ねると、「法然の生誕から往生まで、自利利他の事跡が数百年にわたって現在まで残され伝えられているのは、『四十八巻伝』が残されているからに他ならないが、現在流布している木版本は翻刻の誤りや絵図の抜け落ちがあるため、知恩院の原本と対照して絵図を補い、また注釈を施してその内容を考証し、後の人々のために残すべきであると考えていたがこれも叶いそうにないため、汝等にこの作業を託す」といわれたことから、作成がはじまったという。この作業に賛同した雲竹は字句と絵の清書に参加し、鹿ヶ谷の忍澂は白銀一〇〇両を寄進したという。しかし道半ばで円智、聞証共に没し、義山が志を次いで完成させたという。内容は『四十八巻伝』の記事を事義、地理、寺院、人物、書目の項目に分類して論じており、本書の四八巻までは各巻の事義を論じ、四九巻で地理、五〇巻から五二巻で寺院、五三巻から五九巻で人物、六〇巻で書目を論じている。井川定慶はこの『翼賛』に引用される『四十八巻伝』の詞書と知恩院原本、当麻奥院副本の三本を比較し、『翼賛』と知恩院原本との間に異同があることを指摘している。この成果が『法然上人行状絵図』(中外出版、一九二四)として出版されている。刊本に元禄一六年、宝永元年(一七〇四)がある。本書の補遺が『円光大師行状翼賛遺事』として同じく義山によって作成され、また本書を批判した書として法洲の『翼讃決択試評』(『大日比三師講説集』中)などがある。
【所収】浄全一六
【参考】井川定慶「浄土宗全書第十六巻解説」(浄全一六、山喜房仏書林、一九七四)
【参照項目】➡法然上人行状絵図、円光大師行状翼賛遺事、円智三、義山、聞証
【執筆者:郡嶋昭示】