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「貝多羅」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:31時点における版

ばいたら/貝多羅

樹の「葉」を意味する。古くは西北インドから中央アジアにおいて用いられた、白樺皮と並ぶ仏典書写の素材。Ⓢpattraの音写語で、貝多ばいたとも音写される。正式にはターラ樹の葉(Ⓢtāla-pattra)を指し、多羅葉たらようとも訳される。ターラ樹とはヤシの一種オウギヤシで、全長三〇メートルに及ぶものもある。葉質が堅く密なため、一度干した上で水分を十分に含ませ乾燥させ、そこに鉄筆で文字を刻み、すすをすり込み文字として残す。ちなみに『阿弥陀経』に「七重行樹」(聖典一・一九七/浄全一・五二)とあるのは「七重となったターラ樹の並木」の意味。インドにおいては霊場境内の参詣道両側に植樹されるという。


【参考】頼富本宏・赤尾栄慶『写経の鑑賞知識』(至文堂、一九九四)、中村元・早島鏡正・紀野一義『浄土三部経』下(岩波書店、一九九〇)


【執筆者:中御門敬教】