「兎角」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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とかく/兎角
現実にはないものをあるかのように間違って認識すること、あるいは現実には全く存在しないことを兎の角に喩えていう。兎に角は存在しないが、耳を角と誤認することから、誤った分別や執着の対象の例。同じような喩えとして、亀毛(亀には毛がないが、水中の藻などが付着して毛に見える)がある。『入楞伽経』には、「仏、大慧に告げたまわく、亦法なきに、而も言説を説くことあり。謂わく、兎角…等は、世間の中に於いて言説あり。大慧、彼の兎角は有に非ず無に非ざるに、而も言説を説く」(正蔵一六・五三四中)とあり、ここでは言説としては存在するが、実際には存在しないものの喩えとして兎角等が出てきている。
【資料】『大智度論』一、『中論』二
【執筆者:薊法明】