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「序破急」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:25時点における最新版

じょはきゅう/序破急

序と破と急。三語の合成語。序はゆっくり、急は早く、破はその中間をいう。はじめはゆっくり、徐々に早くなっていくことをいう。もとは緩急をあらわす雅楽の用語であったが、能をはじめとする諸芸能に取り入れられた。雅楽では、舞楽や管絃の演奏上、多楽章形式を構成する楽章の名で、緩急を表現する概念である。序は明確な拍節を持たず、破は延楽のべがく、急は破より拍子が早く早楽はやがくが多い。世阿弥は『風姿花伝』(第三 問答条々)に「一切の事に序破急あれば、申楽さるがくもこれに同じ。能の風情をもて定むべし」とし、単に緩急をしめすだけでなく、一日の能番組の演出的区分と一曲の脚本構成上の区分という概念を展開していった。天台声明では湛智の『声明用心集』に曲名を序曲・急破曲と区分しているように、緩急を表す概念として取り入れられた。浄土宗日常勤行式では構成上の区分として、序分正宗分流通るずう分の三分とし、序は導入部、破は展開部、急は終結部に相当し、序破急の概念を当てることができる。また勤行式、誦経念仏など読誦法の速度表現としても用いられている。


【参考】『続天台宗全書 法儀一 声明表白類聚』二八八(春秋社、一九九六)


【執筆者:八木千暁】