「安心派・起行派」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:18時点における最新版
あんじんは・きぎょうは/安心派・起行派
法然門下の分類概念。望月信亨が『略述浄土教理史』において用いたのを嚆矢とする。法然門下には多くの異流分派があるが、望月はそれらの思想的特徴を「信か行か」の評価軸で大別し、信を第一とみる者を安心派、行に重きを置く者を起行派と呼んだ。安心派として幸西・証空・親鸞が、起行派として隆寛・聖光・長西の名が挙げられている。法然門下の分類概念としては最も基本的なもので、後に石井教道の内門転派(隆寛・幸西・親鸞・西山派西谷義)・外門転派(聖光・長西・西山派深草義)、石田充之の自力強調派(聖光・長西)・他力強調派(隆寛・幸西・証空・親鸞)などの区分が提起されたが、いずれも安心派・起行派の区分を基調としそれを改変修訂したものと捉えられる。なお近年提起された顕密体制論では、当時主流だった「顕密仏教」との対立関係の度合いという、従来とは全く違った評価軸が導入され、法然及びその門下は「異端派」(法然、幸西、親鸞など)と「改革派」(その他大半の門弟)に分類されたが、この分類の適否については異論も多い。
【参考】望月信亨『略述浄土教理史』(浄土教報社、一九二一)、石井教道『選択集の研究 総論篇』(平楽寺書店、一九五一)、石田充之『鎌倉浄土教成立の基礎研究』(百華苑、一九六六)、黒田俊雄「中世における顕密体制の展開」(『黒田俊雄著作集』二、法蔵館、一九九八)
【執筆者:吉田淳雄】