「終南山」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:26時点における最新版
しゅうなんざん/終南山
中国陝西省西安市の南方、およそ二五キロの東西に連なる秦嶺三脈の一部を指していう。秦山、南山、太一山、太乙山等の別名をもつ。三千メートル級の高峰も聳える山岳地帯を総称した名称で、特定の山の名ではない。古来名山として文人墨客に愛され、また、静寂の地を求めて仏僧・道士が好んで隠棲した。道宣の『続高僧伝』には、終南山に関係した多くの高僧たちの行実が記録されている。善導が浄土教の修行に励んだと伝えられる終南山悟真寺は、慧詳が『弘賛法華伝』に標記したごとく、今日でも藍田山(別名覆車山)の中腹に実在する。ただし、道宣、慧詳の記述を参照するかぎり、悟真寺は法華三昧の修行道場と判断され、没後四〇〇年頃に成立した王古『新修浄土往生伝』に初出した善導の終南山隠遁説は再検討の余地を残す。なお、今日では西安市内から高速道路が整備され、山麓一帯は水陸庵を中心に市民の観光・保養の場所として開発されている。
【参考】宋敏求『長安志』一六、小笠原宣秀「藍谷沙門慧詳に就いて」(『龍谷学報』三一五、一九三六)
【参照項目】➡悟真寺六
【執筆者:成瀬隆純】