「性起」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:24時点における最新版
しょうき/性起
華厳教学の中心的思想の一つ。縁起との対比によっても知られる。原因(行)から結果(覚り、智慧、法身など)の流れが縁起であるが、結果からの顕現(仏、如来蔵)の強調が性起である。性起思想については、教学面で多様な考察が行われ、言及範囲も広い。その源泉は『六十華厳』宝王如来性起品に求められ、如来蔵思想への強い影響も知られる。そこに説かれる性起は、「如来の家に生まれた」「如来の出生」「如来の出現」「如来の種の流れ(を断たぬ)」「如来の性(を示現する)」に意味分類できるという。性起思想は如来出現の因果を仏身論、特に法身の顕現という面から捉えた点に大きな特徴がある。因とは法身であり、果とは如来の出現・作用(仏のはたらき)である。如来蔵思想では法身の顕現が衆生にまで及び、個々に仏性を有することが主張される。中国華厳宗法蔵の『探玄記』一六は、性起を理仏性、行仏性、果仏性を承けた理性起、行性起、果性起の三種に分類している。
【参考】高崎直道「華厳教学と如来蔵思想—インドにおける『性起』思想の展開—」(『如来蔵思想』法蔵館、一九八九)、同『如来蔵系経典』(『大乗仏典』一二、中央公論社、一九九二)
【執筆者:中御門敬教】