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「極楽から来た」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:23時点における最新版

ごくらくからきた/極楽から来た

佐藤春夫の歴史小説。昭和三五年(一九六〇)六月二二日から同年一二月一二日まで一七三回にわたり『朝日新聞』(夕刊)に連載された長編。同三六年二月、講談社より刊行。芹沢銈介せりざわけいすけの装画で、初出の挿絵がほぼそのまま収録されている。佐藤春夫にはこの作より以前に、法然を描いた中編『掬水譚きくすいものがたり』(一九三六)、短編『上人遠流おんる』(一九五五)があるが、いずれも法然伝としては必ずしもその全貌を伝えていないので、本作品には著者の積年の思いが込められている。本作単行本の自序では「法然上人正伝と真平家物語を書いたつもりである」と述べ、「本篇は前作の足らざるを補う意味で執筆したもの」と自負を述べている。また、新聞連載に先立って「超人法皇の院政下に荒れ狂う暗黒時代を宗教的情操で照らし出したこの宗教改革者を伝説と史実との中間にとらえこれをメルヘン(童話)仕立てに書いてみたい」(同紙、一八日)と抱負を述べている。平成二一年(二〇〇九)一一月、浄土宗から挿絵をカラーにした『新版 極楽から来た』として復刊された。


【参考】中谷孝雄「解説」(『佐藤春夫全集』五、講談社、一九六七)、鳥居邦朗「解題」(『定本佐藤春夫全集』一七、臨川書店、二〇〇〇)、『増補改訂 新潮日本文学辞典』(新潮社、一九八八)、『日本近代文学大事典 机上版』(講談社、一九八四)


【参照項目】➡佐藤春夫


【執筆者:小嶋知善】