「勘文の役」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:21時点における最新版
かんもんのやく/勘文の役
書物等を記す際に、典拠より要文を探し出す役目。そもそも「勘文」とは、専門家により先例、故事などから勘え纏められた文章、書状等のことを指す。凝然『源流章』の証空の項には「源空上人選択集を作る。証空、年二十三にして是れ勘文の役たり。深く彼義に達す」(浄全一五・五九六上)とあり、これは法然の『選択集』執筆時の証空の役割を明かしたものであるが、その具体的な内容を記したものとして、『選択密要決』一には「真観有て法門の義を談じ、証空有て経釈の要文を引き、安楽有て筆を執り之を書す」(浄全八・二四七上)とあることから、『選択集』執筆時、証空が、真観房の談ずる法門の義に即した要文を経典や論書より探し出し、照合するという役割であったことが分かり、これが勘文の役であるとされる。しかし、その役割が深義に達したが故に行われたのか、単なる助役としてのものであったのかは、『選択集』注釈書の中でも意見が分かれている。
【執筆者:兼岩和広】