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「棺」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:21時点における最新版

かん/棺

遺体を納めて葬る入れ物。「ひつぎ」と読む場合もあり、特に遺体が納められている棺をひつぎと書き表すこともある。棺は遺体を納めて他者の目に直接ふれないようにするものであり、死者を埋葬または火葬場へ運ぶ運搬具でもある。棺には寝棺ねかん(横棺、伸展葬)と坐棺(立棺、屈葬・そん葬)があり、坐棺の形態は箱型や桶型がある。材質は木棺をはじめ、かめ棺、陶棺、石棺、乾漆棺などがある。『四十八巻伝』三八に、「上人法然往生のとき、この地に廟堂をたて、石の唐櫃からびを構えて、納め置き奉る」(聖典六・五九六)とあり、法然の棺は石棺であった。江戸時代は木製の桶型の坐棺が多く、死ぬと急いで作ることから早桶はやおけと称した。現在火葬場の普及に伴ってほとんどが寝棺(直方体箱式・平棺)となった。


【参考】佐藤米司『葬送儀礼の民俗』(岩崎美術社、一九七一)、江戸遺跡研究会編『墓と埋葬と江戸時代』(吉川弘文館、二〇〇四)、碑文谷創『葬儀概論』(表現文化社、二〇〇三)


【参照項目】➡納棺


【執筆者:西城宗隆】