「領帽」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年9月17日 (月) 10:09時点における最新版
りょうぼう/領帽
頸部を包んで胸の前に垂らす白絹製の法服。拝領された帽子のこと。本来は白無地羽二重のものを用いるが、近年化繊のものもある。智顗が隋の煬帝に菩薩戒を授けたときに、厳寒であったために煬帝が自ら縹袖を解いて智顗の頭を裹んだという由来による。また最澄が桓武天皇に円頓戒を授けたときに煬帝の例に準じて縹帽を賜ったという(『顕密威儀便覧』下、仏全七三・三三四下)。浅碧絹を用いてこれを製するから縹という名があり、縹帽、縹帽子、または裹頭ともいう。浄土宗では天保一四年(一八四三)に、知恩院尊超法親王の奏請によって拝綸以上の僧侶に領帽被着の勅許が下されたことに始まるという。千葉満定『浄土宗法式精要』には、良忠が初めて領帽を着用したと伝えている(二五ウ・大正一一年〔一九二二〕)。領帽には本帽子と半帽子とがあり、本帽子は片袖の由来から二尺二寸ほどの長さで第一礼装に着用すべきもので、半帽子は本帽子の半分の幅で通常に用いている(『法式教案』)。「僧侶分限規程」には、領帽は教師が着用するとあり、現行の領帽の被着は冬衣の期間(一〇月一日から五月三一日)としている。被着法は、法衣と袈裟との間に領帽をつけ、領帽の縫い目を下にして、右衽(着物と同様に右前にすること)にする。一端を襦袢の襟の内側に入れ、他端を折り返して、さらに折り返して法衣の襟を覆う。
【執筆者:西城宗隆】