「日本中世の社会と仏教」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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にほんちゅうせいのしゃかいとぶっきょう/日本中世の社会と仏教
平雅行著。平成四年(一九九二)一一月、塙書房刊。国家・社会と仏教の関わりを軸に中世宗教史を解明する書。黒田俊雄の顕密体制論を継承・批判し、後世の宗派史観や新仏教・旧仏教論から脱却して、社会的影響力の強い顕密仏教の中世的な性格を明らかにした。専修念仏の歴史的な解明では法然や親鸞の思想分析にすぐれた手法を示す。戦後の研究で問題とされた法然の思想と行動の矛盾について、思想構造論で矛盾を読み解いた。また選択義を念仏以外では往生できない(諸行往生の否定)と理解し、諸行往生が寺社の荘園制支配を支えるイデオロギーとして機能した歴史状況における、法然の平等的人間観の達成を明らかにする。また親鸞思想を悪人正因説として捉え悪人正機説(善人正因説)と弁別した。専修念仏の特質論に関する賛否を含め、学界に多大な影響を及ぼす。
【参考】末木文美士『鎌倉仏教形成論』(法蔵館、一九九八)、松本史朗『法然親鸞思想論』(大蔵出版、二〇〇一)
【参照項目】➡顕密体制論
【執筆者:善裕昭】