大師は偉大なる師、大[[導師]]の意味で、[[梵語]]のシャーストリ（Ⓢśāstṛ）の漢訳にあたる。当初は「[[釈迦]]大師」のように仏の尊称であったが、中国では天台大師[[智顗]]や[[善導]]大師など[[高僧]]に対する尊称となり、日本では天皇から与えられる<ruby>[[諡号]]<rt>しごう</rt></ruby>となった。その嚆矢は貞観八年（八六六）[[最澄]]に贈られた[[伝教大師]]と[[円仁]]に贈られた[[慈覚大師]]である（ともに[[天台宗]]）。平安時代には他に円珍に智[[証大]]師（[[天台宗]]）が、[[空海]]に[[弘法大師]]（[[真言宗]]）が贈られ、鎌倉時代には延慶元年（一三〇八）<ruby>益信<rt>やくしん</rt></ruby>に[[本覚]]大師（[[真言宗]]）が贈られた。その後は慶安元年（一六四八）[[天海]]に慈眼大師が贈られるまで待たねばならない。[[浄土宗]]では、元禄一〇年（一六九七）[[法然]]に[[円光大師]]が贈られたのが最初で、天台・[[真言]]両宗以外では初めてである。以後<ruby>東漸<rt>とうぜん</rt></ruby>（五〇〇[[回忌]]）・<ruby>慧成<rt>えじょう</rt></ruby>（五五〇[[回忌]]）・<ruby>弘覚<rt>こうかく</rt></ruby>（六〇〇[[回忌]]）・<ruby>慈教<rt>じきょう</rt></ruby>（六五〇[[回忌]]）・<ruby>明照<rt>めいしょう</rt></ruby>（七〇〇[[回忌]]）・<ruby>和順<rt>わじゅん</rt></ruby>（七五〇[[回忌]]）・<ruby>法爾<rt>ほうに</rt></ruby>（八〇〇[[回忌]]）があるが、一人に複数回[[大師号]]が贈られているのは[[法然]]しかいない。また第二次[[世界]]大戦後に贈られた[[大師号]]はこれまで[[法然]]に対する和順・法爾のみである。