「七箇所不断念仏」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:26時点における最新版
しちかしょふだんねんぶつ/七箇所不断念仏
重源が、東大寺再建のために畿内近国および山陽道の各地に設けた七箇所の別所で行われた不断念仏のこと。東大寺別所、高野山新別所、周防阿弥陀寺、播磨別所、渡辺別所、備中別所、伊賀別所の七箇所を指す。各別所に共通する特色として、阿弥陀仏を本尊とした浄土堂を有していること、仏舎利を安置していること、湯屋を置いていることが挙げられる。ただし別所の中で最も古く、重源の信仰の拠点でもあった高野山新別所には、浄土堂と阿弥陀如来像は安置されていない。別所には不断念仏を行う念仏聖が居住していた。渡辺別所と播磨別所には阿弥陀仏の来迎像が安置され、迎講が行われていた。また東大寺別所は丈六仏像や宋版一切経を安置する浄土堂があり、東大寺伽藍造営の拠点となった。備中別所については、自著『南無阿弥陀仏作善集』に、阿弥陀如来像を安置する浄土堂があったと記されているが、どこに所在していたかは分かっていない。
【参考】小林剛『俊乗房重源史料集成』(吉川弘文館、一九六五)、中尾尭・今井雅晴編『重源・叡尊・忍性』(『日本名僧論集』五、吉川弘文館、一九八三)
【執筆者:工藤美和子】