「観経疏伝通記見聞」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:21時点における最新版
かんぎょうしょでんずうきけんもん/観経疏伝通記見聞
一
一五巻(または二六巻)。『観経四帖疏伝通記見聞』ともいう。持阿良心撰、良栄理本増補改訂。「大沢見聞」の一書。良忠『観経疏伝通記』の末書。藤田派良心が著した『観経伝通記受決鈔』を良栄が名越派教学の立場より増補改訂し、あわせて自説を述べたもの。内容は、『伝通記』の構成にしたがって、『玄義分伝通記見聞』六巻(一三巻)、『序分義伝通記見聞』三巻(四巻)、『定善義伝通記見聞』三巻(五巻)、『散善義伝通記見聞』三巻(四巻)よりなる。はじめに良心『伝通記受決鈔』の序文を掲載し、つぎに『伝通記』の要文を出して解釈している。このほか一義として藤田・坂下(良暁)・然空・慈心などの異説も列記しており、良忠門下六派の異義を見る上で重要なものである。刊本に享保一四年(一七二九)三縁山において印行したものがある。
【参照項目】➡大沢見聞
【執筆者:笠島崇信】
二
一五巻(内、二巻欠)。単に『伝通記見聞』ともいい、「坂下鈔」「遅沢鈔」ともいう。寂慧良暁撰。応長二年(一三一二)成立。良忠の『観経疏伝通記』一五巻の要文を出して印度・中国・日本の経釈を縦横に引用し、あわせて法然門下、良忠門下の異義を論じ、良忠より相伝の義によって白旗正流の教旨を説いたものである。内容は良忠『伝通記』と同じ構成であり、『玄義分伝通記見聞』六巻、『序分義伝通記見聞』三巻、『定善義伝通記見聞』三巻、『散善義伝通記見聞』三巻(うち一、二を欠く)よりなっている。主として藤田派性心の説を多くあげ、また「箕田云」として良暁の弟子の定慧の説も入れられている。跋に定慧が「先師の制法は件のごとし」(続浄三・二七六下)といい、定慧の添書があることから「箕田云」という定慧の説は定慧自身の加筆とも考えられる。
【所収】続浄三
【執筆者:笠島崇信】