「諸回向宝鑑」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
Seishimaru (トーク | 投稿記録) 細 (1版 をインポートしました) |
Seishimaru (トーク | 投稿記録) |
||
1行目: | 1行目: | ||
=しょえこうほうかん/諸回向宝鑑= | =しょえこうほうかん/諸回向宝鑑= | ||
− | 五巻。表題には「[[浄土]][[諸回向宝鑑]]」、内題では「浄家[[諸回向宝鑑]]」と記してある。著者は[[必夢]] | + | |
+ | 五巻。表題には「[[浄土]][[諸回向宝鑑]]」、内題では「浄家[[諸回向宝鑑]]」と記してある。著者は[[必夢]]、雅印に読誉[[龍山]]と捺し、その事蹟などは不詳である。[[奥書]]は元禄一一年(一六九八)正月上旬とある。[[宗門]][[僧侶]]のために[[読誦]]すべき経や[[回向文]]を集録した書。序によると[[宗門]]初学の[[僧侶]]が[[誦経]]、[[回向]]など修練するべき[[法要]]を知らないのを<ruby>慨<rt>なげ</rt></ruby>いていたところ、ある人の勧めに従い、[[浄土門]]の宗風を誌して、初学者に教え諭すのに便利なように作ったとある。本書は、第一条箇に[[宗門]]軌則六[[修法]]、[[円光大師]]七箇条、[[四箇法要]]、[[三部経]]抜粋、[[施餓鬼]]法などの[[法式]]を載せ、第二条箇に各種の[[回向文]]、第三条箇に葬儀に関する故実、[[法式]]を載せ、第四条箇に[[浄土]]諸系譜、[[元祖]]大師行状、第五条箇に諸[[法式]]における[[威儀]]などの軌則を編述している。[[浄土宗]]の規律確立後に必要な[[法要]]儀則を網羅し、[[法然]]以降の流伝を示したこの種の書の先駆をなすものであり、[[浄土宗]]軌規の根幹をなすものとして重要な書である。『[[浄土]]<ruby>苾蒭<rt>びっしゅ</rt></ruby>宝庫』は本書に依るところが多い。昭和五二年(一九七七)に[[諸回向宝鑑]]刊行会より、復刻本が刊行された。 | ||
---- | ---- | ||
【参照項目】➡[[浄土苾蒭宝庫]] | 【参照項目】➡[[浄土苾蒭宝庫]] | ||
---- | ---- | ||
【執筆者:石田典正】 | 【執筆者:石田典正】 |
2020年7月17日 (金) 01:39時点における最新版
しょえこうほうかん/諸回向宝鑑
五巻。表題には「浄土諸回向宝鑑」、内題では「浄家諸回向宝鑑」と記してある。著者は必夢、雅印に読誉龍山と捺し、その事蹟などは不詳である。奥書は元禄一一年(一六九八)正月上旬とある。宗門僧侶のために読誦すべき経や回向文を集録した書。序によると宗門初学の僧侶が誦経、回向など修練するべき法要を知らないのを慨いていたところ、ある人の勧めに従い、浄土門の宗風を誌して、初学者に教え諭すのに便利なように作ったとある。本書は、第一条箇に宗門軌則六修法、円光大師七箇条、四箇法要、三部経抜粋、施餓鬼法などの法式を載せ、第二条箇に各種の回向文、第三条箇に葬儀に関する故実、法式を載せ、第四条箇に浄土諸系譜、元祖大師行状、第五条箇に諸法式における威儀などの軌則を編述している。浄土宗の規律確立後に必要な法要儀則を網羅し、法然以降の流伝を示したこの種の書の先駆をなすものであり、浄土宗軌規の根幹をなすものとして重要な書である。『浄土苾蒭宝庫』は本書に依るところが多い。昭和五二年(一九七七)に諸回向宝鑑刊行会より、復刻本が刊行された。
【参照項目】➡浄土苾蒭宝庫
【執筆者:石田典正】