「門徒」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:35時点における最新版
もんと/門徒
一
教えや行業、活動の地域などを同じくする僧俗のこと。永和四年(一三七八)成立した静見『法水分流記』には、信空の白川門徒、湛空の嵯峨門徒、源智の紫野門徒、親鸞の大谷門徒(一向宗)が確認できる。活動の地域や法脈などによる共通性に基づく集団もあり、教義上の特色が明確でない場合がある。
【執筆者:東海林良昌】
二
真宗の信者のこと。浄土真宗のことを門徒宗ともいい、真宗の信仰を奉ずる集団を指す場合もある。古来、親鸞の門弟の呼称として、居住する地名を指し、高田門徒・大網門徒・鹿島門徒・三河門徒と通称がある。また現在も安芸門徒などのように、特に真宗の信仰に厚い地域の信徒を指すことがある。その背景には「親鸞は弟子一人ももたずさふらふ」(『歎異抄』)と親鸞の述懐に表れるように、親鸞の目指した同朋意識がある。なお、「門徒物知らず」という言葉は、通常は真宗の信徒が物忌みを軽視する姿に対して揶揄した意味で取り上げられるが、その反面には弥陀一仏への強い信仰心の表出がある。その点は近世中期の儒学者、太宰春台の評価を得ている(「聖学問答」『日本思想大系』三七)。近時には「門徒物忌み知らず」の意であると会通を図る理解も提示されている。
【執筆者:能島覚】