「世尊」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:27時点における最新版
せそん/世尊
釈尊の呼称。原語はⓈⓅbhagavatであり、「幸運を有する者」の意。釈尊には様々な呼称があり、「如来の十号」と言われるように、仏、阿羅漢、正等覚者など一〇の異なった呼称があるが、この語もその中の一つ。婆伽婆や薄伽梵と音写されたり、世尊や有徳と意訳されたりする。これは古代インドのヴェーダ聖典や叙事詩においても、弟子が師匠に対して「先生」と呼びかける際の言葉であり、仏教もそれに倣ったとされる。通常、経典では釈尊を描写する際に最も一般的に用いられる。例えば単独で、あるいは「仏」という語と共に、「ある時、世尊は舎衛城郊外の竹林精舎で時を過ごしておられた」というように、経典の語り手が第三者としての釈尊を客観的に描写する際に使われたり、また仏弟子や在家信者が、「私は世尊のもとで梵行を修したいのです」というように、二人称として釈尊を呼ぶ場合にも使われる。
【参照項目】➡十号
【執筆者:平岡聡】