難遂往生機
提供: 新纂浄土宗大辞典
なんすいおうじょうき/難遂往生機
極楽に往生をとげにくい機根の意。法然撰と伝える『往生記』に「一には、常に勇猛精進にして、念仏の功、相い積むといえども、憍慢の心に依って臨終の時、魔の為に便りを得せ令むる人。二には、道心も有り、誠心も有り、日夜念仏その徳、他に勝れたるが故に、諸人これに帰依す。然る間、布施において貪を生ずる人。三には、念仏の功、有りといえども、信施を厭わざるが故に、その罪漸々に相い重なり最後に正念に住し難き人。四には、厭離の心強しといえども、欣求の思いはなはだ弱き人。五には、信心深からずして存るがごとく亡がごとき人。六には、信心一ならずして決定せざる人。七には、信心相続せずして間断有る人。八には、常に疑煩悩を生ずる人。九には、好んで雑縁に近づく人。十には、たとい理を得るといえども、偏執改め難き人。十一には、平生に極楽を欣求すといえども、内心不調なるに由って、臨終に狂乱する人。十二には、臨終の時、忽然として悪知識に遇える人。十三には、往生浄土の教えを見て、横に僻見に住する人」(聖典五・二一三〜四/昭法全一〇〇五~六)と一三種の人が挙げられ、疑心、懈怠、自力、高慢の四障に総括される。
【資料】聖冏『往生記投機抄』(聖典五)
【執筆者:日下部謙旨】