一巻。聖冏撰。禅僧覚隼の疑問に答える形で著された、禅宗に対する論駁の小著。まず覚隼が偈を示し、その偈に関する疑問を呈し、それについて聖冏が答えるという形式をとる。その内容は、禅宗は遠く煩悩を払って、菩提を求める性頓しょうとん(大乗自力聖道門)の教えであるから、執着がありながら自然に実相を現し、見生の火を焼きながら無生の智水に浴すような、即相不思議宗(大乗他力念仏、浄土宗)の教えには及ばないとする。
【所収】浄全一二
【執筆者:東海林良昌】