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陰膳

提供: 新纂浄土宗大辞典

かげぜん/陰膳

家を離れてしばらく還って来ない人のために、不在中も食事を調ととのえ膳を据える習俗。蔭膳、影膳とも書く。家族の一員が旅や兵役などに出たとき、または遭難の際には無事を祈って、留守宅で家族が膳を供える。太平洋戦争の出兵時には、陰膳を供えることが全国的に行われた。陰膳は床の間や不在の人が食膳についた場所に置く例が多い。葬儀・法事後の霊前に供える膳(霊膳)を陰膳と称する例も見られる。


【参考】柳田国男「影膳の話」(『定本 柳田国男集』一四、筑摩書房、一九六二)


【執筆者:西城宗隆】