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選択集十六章之図

提供: 新纂浄土宗大辞典

せんちゃくしゅうじゅうろくしょうのず/選択集十六章之図

選択集』全一六章の一々の内容を知らしめるために一軸の図絵に表したもの。視覚によって信仰の感発を促すために用いられたと考えられる。正徳三年(一七一三)に描かれた。作者は高田敬輔けいほ(一六七四—一七五五)。敬輔は現在の滋賀県蒲生郡日野町に生まれる。幼少より絵を好み、家業(薬種商)を手伝いながら最初は独学で、その後京都狩野派の画法を、さらに古礀こかんの勧めにより雪舟の画法も学び、高田派といわれる独自の画法を生み出した。敬輔は信仰心も深く華厳宗の鳳潭󠄂、僧叡、浄土宗義山などに仏教を学んだ。その義山の勧めもあり同四年に本図は開版され、法然七五〇回忌(昭和三六年〔一九六一〕)にも版行されている。また本図が描かれた意図を明瞭にするために『選択集十六章図説』(延享二年〔一七四五〕刊、湖月)、『選択集十六章図略解』(明治二三年〔一八九〇〕刊、堀尾貫務)などが著されている。


【参考】石井教道『選択集の研究 註疏篇』(誠文堂、一九四五)、坂野泰巨編『選択集入門—選択集十六章之図—』(文化書院、一九九八)


【執筆者:新井俊定】