行具の三心・智具の三心
提供: 新纂浄土宗大辞典
ぎょうぐのさんじん・ちぐのさんじん/行具の三心・智具の三心
三心を、それが具わる道筋の上から二種に分けたもの。『東大寺十問答』(聖典四・五二九/昭法全六四三)に対比して挙げられる。智具の三心とは、諸宗を修学する者などが経論等により三心の文義を理解して具える三心。一方、行具の三心とは、専修念仏に帰依した者が疑う思いなく往生を願い、ひたすらに念仏を行じていくうちに自ずから具わる三心である。三心の意義や必要性を頭で理解しようとするのではなく、念仏を行じていく中で自然と具わるという『一枚起請文』にも通じる観点である。
【参考】丸山博正「行具の三心について」(『小澤教授頌寿記念 善導大師の思想とその影響』大東出版社、一九七七)
【参照項目】➡三心
【執筆者:渋谷康悦】