華厳通関
提供: 新纂浄土宗大辞典
けごんつうかん/華厳通関
一巻。定仙撰。弘化二年(一八四五)刊。『華厳経』を浄土の法門の源とし、同経の要旨をもって浄土宗の教義を解釈し、事理の双行を明かしたもの。書名は「華厳を以て浄土の関に通ず」の意味。本書は定仙が七六歳のときに、日用受持する『華厳略抄』(『要略華厳経』)を弟子に付与するに際し、遺訓に擬して述べたもの。善導は浄土三部経以外では『六十華厳』と『文殊般若経』の二経を以て宗要の的証としたといい、『華厳経』によって専修念仏三昧を証していることを述べる。また、解は究竟一乗果海の『華厳経』の法門に結縁し、行は性相一如念仏三昧を修習することこそ、仏願に随順し、仏心に相応するとして、解行双修すべきことを説く。また、聖光の説に従って聖道浄土兼学が浄土宗の大要であると主張する。
【所収】続浄一五、仏全七〇
【執筆者:原口弘之】